医療トピックス

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麻疹(はしか)

2016年9月

 今年の8月に関西空港で働く従業員などを中心に麻疹の感染が発生し、9月7日の時点で関西空港に関係する麻疹感染者は39人となっています。感染者は20歳代~30歳代が中心で、さらなる拡大が心配されています。
 かつて麻疹は「皆が罹る重い病気」で、多くの人は小児のうちに感染し、免疫を獲得していました。1973年に麻疹ワクチンの定期接種(1回接種)が開始され、患者数は減少してきましたが、1回の接種では十分でないとして、2006年からは2回接種(1歳と小学校入学前)が導入されました。しかしながら、ワクチンを接種していない人や、1回しかワクチンを接種する機会のなかった20歳代後半から30歳代では免疫が不十分な人がいるといわれており、実際、最近では成人の麻疹患者の割合が増加しています。

【麻疹はどのような病気か】
 麻疹は麻疹ウイルスによって引き起こされる全身感染症で、「はしか」とも呼ばれています。
 感染経路は、接触感染、飛沫感染のほかに空気感染があります。感染力が非常に強く、インフルエンザウイルスの10倍程度の感染力を持つといわれています。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症してしまいますが、一度感染して発症すると一生の間免疫は持続します。

 感染すると約10日後に発熱、咳、鼻汁などの風邪のような症状が出現し、目やにがでたりすることもあります。次いで、口の中、頬っぺたの内側に、麻疹に特徴的とされる小さい白い斑点(コプリック斑)が出現しますが、数日で消失します。この時期をカタル期と呼び、感染力が最も強力です。
 その後3~4日で一旦解熱しますが、半日後位に高熱とともに赤い発疹が出現し、全身に広がります。咳、鼻汁、目やになども増悪し、高熱は4日ほど続きますが、合併症を起こさなければ10日程度で回復します。
 合併症には、肺炎、中耳炎、脳炎などがあり、重症化することもあります。
 麻疹を発症した場合の直接的な治療法はなく、対症療法が基本となります。食事を摂ることが困難になり、点滴などが必要になることもあります。

【麻疹の予防】
 麻疹ウイルスに対する直接的な治療薬はないため、予防が極めて大切です。予防には麻疹ワクチン接種が有効であり、最も重要です。
「麻疹に罹ったことがある人」と「ワクチンを2回接種している人」以外は感染の危険があります。ワクチンを受けたかどうかはっきりしない人は、母子手帳を確認して下さい。それでも不明であれば、血液検査で麻疹に対する免疫を持っているかを調べることができます
 定期接種の対象年齢(一歳児、小学校入学前1年間の幼児)のほかに、「麻疹に罹ったことがなく、ワクチンを受けたことがない人」はワクチン接種が勧められます。
「ワクチン接種が1回のみの人」は 2回目の接種についてかかりつけ医にご相談下さい。特に、医療従事者や学校関係者、海外に行く方などには接種が勧められています。
 また、感染の拡大を防ぐために、学校保健安全法で、解熱後3日間が出席停止期間と定められており、この期間は登校できません。

 麻疹は非常に感染力の強い感染症ですが、ワクチンによって感染の広がりを防ぐことの可能な感染症でもあります。
 麻疹は、2007年にも20歳前後の人を中心に流行しました。このとき当医療トピックス(2007年7月号)でも麻疹を取り上げ、詳しく解り易く説明してありますので、そちらも是非御一読下さい。

 なお、9月12日現在、麻疹ワクチンおよびMRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)は不足しています。MRワクチンは定期接種分の確保を徹底するように厚生労働省から通達がだされており、定期接種者が優先されます。また、麻疹ワクチンも入手困難な状況です。ご理解ご協力をよろしく御願い致します。

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