医療トピックス

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麻疹(はしか)

2007年7月

麻疹(はしか)が久しぶりに大流行し、新聞・テレビなどの報道で心配されている方も多いと思います。今回は改めて麻疹(はしか)のことをご説明いたします。

■麻疹について
麻疹はパラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスによって引き起こされる急性熱性発疹性の感染症です。麻疹ウイルスの感染は空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染と様々であり、その感染力は極めて強く、麻疹ウイルスに対する免疫を持たない、いわゆる麻疹感受性者が感染した場合、ほぼ100%が発病し、1度罹患すると終生免疫が獲得されます。また、麻疹ウイルスは基本的にはヒトを唯一の宿主とするウイルスであり、ヒト-ヒト感染以外の感染経路は通常存在しません。

麻疹に対する特異的な治療法は存在しませんが、先進国においては栄養状態の改善、対症療法の発達などにより、死亡率は0.1~0.2%にまで低下しています。しかし、我が国では未だ推計で10-20万人規模の患者発生があり、毎年死亡例があります。合併症率約30%、平均入院率40%であり、重篤な疾患であることに変わりはありません。

■麻疹の症状
麻疹ウイルスに感染してから10日前後で高熱、咳、鼻汁、目やになどの症状が現れます。この時期に口の中の頬の粘膜に白い小さな斑点(コプリック班)が現れると麻疹感染が確実です。また、この時期は感染力が一番強くなります。

この後一旦解熱するが再び高熱とともに全身に鮮紅食のやや隆起した発疹が出現します。この時点で大部分は診断が確定されます。症状は更に増悪し、下痢、口内炎、全身倦怠感が強くなり、食事が食べられなくなり、点滴や入院治療が必要となることがあります。

普通ならばその後3-4日で回復期に入りますが、一部では肺炎や脳炎を合併し死亡することもあります。尚、感染力が強い為解熱後3日経過しなければ登校は許可されません。(学校保健法)

また最近は、ワクチンを接種したが充分な免疫力が出来ていない場合などに感染を起こし、症状がはっきりしない場合が見られます。(修飾麻疹)

■麻疹の後遺症
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
麻疹感染後数年以上経過してから発症する予後不良の脳炎で数万人に一人に起こります。

■麻疹の治療
現在は対症療法のみです。

■麻疹の予防
麻疹ワクチンの接種が行われています。現在は風疹ワクチンと一緒にMRワクチンとして生後12~15ヶ月に1回目、就学前に2回目の接種が推奨されているが、摂取率は80%程度と低いことが問題となっています。ワクチンの有効性は95%以上と高く、副作用も非常に少なくなっています。尚、妊娠中のワクチン接種は禁止されており、更にMRワクチン接種後2ヶ月間は避妊が必要です。

■世界の現状
WHOは、毎年3000万人以上の麻疹患者と875,000人の麻疹による死亡者が発生していると推計しています。この死亡数は、全世界の感染症による死亡数14,025,000人のうち、6.24%を占め、単独の病原体としては最大の死亡原因です。その為、WHOとユニセフはCDC(米国疾病管理予防センター)と協力して、麻疹による死亡率減少と地域的な排除のための世界麻疹排除対策戦略計画を策定しました。

また、WHOは麻疹を排除に向かう段階を3つに分けています。

第一段階:麻疹患者の発生、死亡の減少を目指す制圧期、
日本、中国、インド、その他の途上国

第二段階:全体の発生を低く抑えつつ集団発生を防ぐ、集団発生予防期、
オーストラリア等のオセアニア諸国

最終段階:排除期
南北アメリカ大陸、ヨーロッパ、南アフリカ、中近東の一部

以上のように、先進国の中で日本だけが麻疹汚染国とされています。このため麻疹を輸出することがしばしばあり、積極的なワクチン接種が世界中から求められています。

■麻疹に対して取るべき対策

  1. 麻疹既感染者:何もしなくても大丈夫
  2. ワクチン2回接種者:まず大丈夫でしょう
  3. ワクチン1回接種者:血液中の麻疹抗体価を計測し、低い場合はワクチンを接種する
  4. ワクチン未接種者:ワクチンを接種する
  5. 不明者:血液検査を受けるか、ワクチンを接種する

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