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ただの“年だから”じゃないかもしれません――増える大動脈弁狭窄症を見逃さないために

2025年1月

息切れや胸の痛みを「加齢のせい」とあきらめていませんか?
実は、動脈硬化によって心臓の大動脈弁が硬くなり、開閉が十分にできなくなる大動脈弁狭窄症の可能性があります。統計によると、70歳未満では約1%ほどとまれな病気ですが、80歳以上では約7%にまで増えるとされ、60歳以上では約284万人が大動脈弁狭窄症を抱え、そのうち約56万人が重症(国立循環器病研究センター)と推定されています。ところが、実際に治療を受けているのは2万人ほどにとどまっているのが現状です。

この病気が進行すると、少しの動作でも息切れが強くなったり、胸が苦しくなったり、めまい・失神を起こすことがあります。大動脈弁狭窄症を早期に見つけるには、診察時の胸の聴診が重要です。心臓から血液を送り出す際に、胸骨右縁の第2肋間付近でザッザッと鳴る“収縮期駆出性雑音”が手がかりになります。「ちょっと息切れが気になる」という方は、ぜひ「聴診をしっかりお願いします」と医師にお伝えください。

治療としては、狭くなった弁を人工弁に取り替えることが基本です。以前から行われている開胸手術(SAVR)に加え、カテーテルを使って足の付け根から人工弁を挿入するTAVI(タビ)が高齢者を中心に急速に普及しています。実際、TAVIを受ける患者さんの平均年齢は80代が中心で、90歳代の方が受けるケースも少なくありません。開胸手術に比べて体への負担が少なく、術後3~5日ほどで退院できる例もあり、大掛かりな手術に抵抗を感じる方にとって大きな選択肢となっています。

「息切れが増えたのは年齢のせい」と思い込みがちですが、もし大動脈弁狭窄症を放置すると、心臓への負担がさらに高まってしまいます。早期発見・早期治療によって、従来どおりの日常生活を続けられる可能性は大いにありますので、少しでも気になる症状があれば、遠慮なく医師にご相談ください。あなたやご家族の健康を守るためにも、心臓からの小さなSOSに耳を傾けてみましょう。

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