医療トピックス

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便を移植する治療法があります

2018年3月

 便通で困っている方が多くいます。便秘とは3日以上便が出ない状態で、ひどい腹痛が出たり、便がたまっておなかが張ったりして、吐き気や嘔吐が出たりします。また下痢になると、1日に何回もトイレに行ったり、出血を伴う下痢もあります。便通の異常は、おなかの症状だけでなく、仕事をする気が起きなかったり、遊びに行く気もなくなったりして、普段の生活の質にも支障をきたしてしまいます。また、大腸がんのリスクが増えたり、肛門の病気になってしまったりすることもあります。便秘の時には下剤を飲んだり、下痢の時には下痢止めを飲んだりします。またはヨーグルトなどの発酵食品や食物繊維の摂取をしたり、乳酸菌が含まれた整腸薬を内服したりします。しかし内服薬でも食事療法でも改善できない難治性の便通異常をきたす病気もあります。
 腸の中には何百・何千種類、何兆個もの腸内細菌がいて、代表的なものでは大腸菌、乳酸菌、ビフィズス菌などがあります。それらを大まかに分けると、腸内に有用で便通を良くしたり免疫力を上げる善玉菌と、有害物質(発がん物質など)を放出したり免疫力を弱めたりする悪玉菌があります。難治性の便通異常は、この善玉菌と悪玉菌のバランスが良くならないまま炎症などが起きてしまい、さらにバランスが悪くなっている場合が多いのです。
 そこで注目されたのが、腸内細菌のバランスを整えるために、健康な人のバランスの取れた便を腸内に移植する「便移植」です。便を直接移植するのではなく、便を医療用の生理食塩水と混ぜて液体にしてから内視鏡を使って大腸に注入します。また、だれの便でもよいというわけではなく倫理的に考え、今のところ配偶者や2親等以内の家族に限定されています。さらに便を提供する方は、さまざまな検査をパスした「健康な糞便」を有している必要があります。健康な糞便を移植することは、食事療法や整腸剤の内服とは比べ物にならないほどの、数と種類が豊富な善玉菌が移植されることになり腸内細菌のバランスを整えることができるため症状の改善が期待されます。
 比較的新しい治療法ですが、欧米では数多くの実施例が報告されていて、治療の成功率はかなり高く、重い副作用の報告はありません。日本では現在のところまだ治験の段階で、適応となる病気は・難治性便秘、・clostridium difficile 感染症、・過敏性腸症候群、・潰瘍性大腸炎 など、限りがあります。今後さらに有効性と安全性を確かめ、便通に困っている方々の未来が明るくなることに期待します。

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