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睡眠時無呼吸症候群

2017年3月

 春眠暁を覚えずと言いますが、春でなくても寝不足を非常に強く感じる場合には睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)が隠れているかも知れません。

 SASとは、ごく簡単に説明すると寝ている間に呼吸が頻繁に止まる状態を指します。その影響で良質な睡眠がとれず、日中に激しい眠気に襲われることがあります。今では公共交通機関をはじめとして職業運転者は積極的に治療を受けるようになってきていますが、以前はこれがあまり認識されておらず新幹線の居眠り事故の原因が運転士のSASにあったことがあとから判明して話題になったこともありました。

 この病気はのどが塞がれて呼吸が止まってしまう閉塞性と、脳が呼吸の命令をやめてしまう中枢性とのふたつに分類されます。このうち大多数を占める閉塞性のSASはいびきにより起こります。いびきは呼吸の際の空気の通り道が主に舌の付け根や扁桃に押されて狭められてしまうために引き起こされるのどの奥の振動であり、更に圧迫が強くなり通り道が完全に塞がれてしまうと空気が出入り出来なくなり閉塞性の無呼吸となるわけです。

 息が止まるとは言っても、そのまま永遠に止まってしまうわけではありません。呼吸が止まり血液中の酸素が不足してくると、脳が一時的に目を覚まして舌を持ち上げ、空気の通り道を再開通させます。酸素が十分行き渡るようになると脳はまた眠れるようになり、すると舌の筋肉が緩んでのどを塞ぎ、再び無呼吸が出現します。この繰り返しにより十分な時間寝ていたとしても睡眠が細かく分断され、かくれた睡眠不足が起こるのです。

 ご家族にいびきや無呼吸を指摘されたらまず病院を受診し検査を受けることになります。検査では鼻と口での空気の流れや血液中の酸素量などを測定します。精度の違いはありますが、病院だけでなく自宅で行うことも可能です。いずれの場合も一晩の睡眠状態をモニターして無呼吸・低呼吸の頻度を調べ、1時間あたり基準値以上の無呼吸・低呼吸があった場合にSASと診断されます。

 SASと診断されたら治療を受けることになります。一般的には、内科的な鼻マスクによる治療(CPAP)、耳鼻科的な処置による治療、歯科口腔外科的なマウスピースによる治療などが挙げられます。それ以外にも就寝中の体勢を横向きに変えるだけで気道の閉塞は大幅に解消しますし、肥満が原因になっていることが多いので食事療法や運動療法などで減量すれば大いに改善することも期待できます。SASでは眠気で日常生活に支障をきたすのみでなく、知らず知らずのうちに心臓や脳に悪影響を与えることも指摘されています。ご家族にいびきがひどいと言われたらまずは病院で相談し、早めに検査をして必要な場合は治療を受けるようにしましょう。特に太っている、首やあごが短い、扁桃が大きいなどの閉塞性SASになりやすい身体的特徴を持つ人や、いびきがひどい、起床時に頭痛がある、日中寝てはいけない場面でもねむくなるなどのSASによくある自覚症状を感じている人は要注意です。

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