医療トピックス

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アルツハイマー型認知症に新しい治療が加わりました

2024年11月

アルツハイマー病は、主に記憶力や判断力がだんだんと低下し、日常生活に支障が出る病気です。この病気の原因のひとつとして、脳に「アミロイドβ」というたんぱく質がたまってしまうことがわかっています。これは、モノマー→オリゴマー→プロトフィブリル→フィブリル→アミロイドプラークと変化していき、変化が進むほど塊は大きく固くなります。「アミロイドプラーク」になると、脳の神経細胞が正常に働けなくなり、症状が進行してしまいます。

レケンビとは?
レケンビは、アルツハイマー病の進行を遅らせる薬で、2023年に日本で承認されました。日本のエーザイとアメリカのバイオジェンが共同開発しました。レケンビは、脳内のアミロイドβが固まる前の段階である「プロトフィブリル」に結びつき、免疫システムがこれを取り除きやすくすることで、脳からアミロイドβを減らします。この薬は2週間に1回、点滴で注射しますが、脳にむくみが出たり小さな出血が生じることがあるため、定期的に脳の検査を受けながら治療を進めます。

ケサンラとは?
ケサンラも同じくアルツハイマー病の進行を遅らせる薬で、2024年に日本で承認されました。アメリカのイーライリリーが開発したこの薬は、レケンビよりもさらに固まった「アミロイドプラーク」に結びついて、免疫システムがこれを取り除きやすくします。ケサンラは4週間に1回、点滴で投与しますが、こちらも脳のむくみや出血などの副作用があるため、注意深く検査を行いながら治療します。

2つの薬の違いと共通点
レケンビとケサンラはどちらもアルツハイマー病の進行を遅らせることを目指していますが、作用するアミロイドβの段階や投与頻度が異なります。レケンビはもう少し早い段階で、ケサンラはより固まったプラークに対して作用します。ケサンラでは神経細胞や血管にはりついた、より大きく固いアミロイドプラークを人為的にはぎとることになるのでアミロイドβを分解・除去する効果が高い一方で副作用の頻度は多めと考えられています。

新しい薬がもたらす希望
レケンビとケサンラの登場で、アルツハイマー病の進行を遅らせ、患者さんがより長く日常生活を続けられる可能性が広がりました。これらの薬は完全な治療ではありませんが、患者さんや家族にとって新たな希望と言えるでしょう。

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