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どうする 痛い足のつれ

2024年7月

●足のつれとは?
運動中や就寝中に足がつれることがあります。足がつれるとは簡単に言うと「筋肉が縮み過ぎている状態」のことです。医学的には「有痛性筋けいれん」と呼ばれ、痛みを伴う筋肉のけいれんと考えられています。通常は筋肉が収縮するときに、縮みすぎないように脊髄から神経を介して信号が送られ、筋肉の動きにストップがかかります。しかし、神経や筋肉に何らかのエラーが起きると、信号が正しく伝達されず筋肉が縮み過ぎてしまいます。これが「つる」という状態です。そして縮み過ぎたことで、筋肉に大きな圧力がかかり痛みが生じます。

●足がつる原因
1.筋肉の疲労
負荷の高い運動が長時間続いて筋肉が疲労するとつりやすい状態になります。加齢や運動不足で筋肉量・柔軟性の低下がある場合も筋肉が疲労しやすく、足がつりやすくなります。
2. 神経のトラブル
加齢で、椎間板という背骨のクッションの弾力が落ちたり、背骨の変形があると、腰の神経が圧迫され、筋肉への信号にエラーが発生することがあります。代表例として、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアがあります。糖尿病による神経障害によって足がつりやすくなることもあります。
3.血流の低下、冷え
血液は筋肉や神経に酸素や栄養を運んでいますが、血流の低下で循環が悪くなると、筋肉や神経の機能が低下し、足がつりやすくなります。閉塞性動脈硬化症や下肢静脈瘤が代表的です。足元が冷える場合も血流が悪くなり同様の症状が起きやすくなります。
4.ミネラル不足
ミネラルは筋肉と神経の連絡に必要で、特に筋肉の動きに関わるカリウム、マグネシウム、カルシウムの血中濃度が異常に低くなると、筋肉と神経の連絡にエラーが生じることがあります。
5.脱水、アルコールの過剰摂取
脱水症状を起こすと、ミネラバランスが崩れがちになります。利尿作用のあるアルコールを過剰に摂取することも、脱水につながるので要注意です。
6.気管支・肺の病気
酸素が足りなくなると、筋肉が正常に働かなくなります。低酸素状態になりやすいとされているのが、COPD(慢性閉塞性肺疾患)と呼ばれる慢性的な肺の病気です。
7.甲状腺機能低下
甲状腺機能の異常により、代謝に不調を来して、足のつれが起きやすくなります。
8.透析
透析直後に筋肉のつれが起こることがあります。体液が急激に大量に除去され、電解質濃度が低下することが考えられます。
9.妊娠
「子宮による圧迫で脚の血流が低下する」、「マグネシウムなどのミネラルが不足する」、「体重の増加によって筋肉への負荷が大きくなる」などの要因で足がつりやすくなります。
10. 薬の副作用
副作用で足がつる可能性のある薬は、コレステロールを抑える「スタチン系の薬」、血圧を下げる「利尿薬・ベータ遮断薬・カルシウム拮抗薬」などです。薬の副作用が原因の場合、薬の処方を変えることで解消する例が多くあります。自分で判断することは危険ですので、気になる人はかかりつけ医に相談してください。

●足がつったときの対処法
「つってしまった筋肉のストレッチ」が大原則です。日常でつりやすい筋肉としては、ふくらはぎの腓腹筋、すねの筋肉、大腿後面のハムストリング、大腿前面の大腿四頭筋が挙げられます。代表的な疾患である、こむら返り(ふくらはぎの筋肉のつれ)のストレッチは、膝を伸ばしてつま先を手前に引き寄せ、ふくらはぎの筋肉をゆっくり伸ばします。痛みが治まるまでゆっくり続けることが大切です。

●薬物療法
芍薬甘草湯は、筋肉の緊張を緩める働きのある漢方薬です。「即効性」のあることが特徴で、服用から5分ほどで症状が治まる場合もあります。ただし、継続的な服用や、服用量・年齢・持病によっては、まれに血圧上昇・むくみなどの副作用が現れることもあるので、用法・用量には注意が必要です。
その他、抗けいれん薬や筋弛緩薬が使用される場合もあります。

●最後に
痛い思いをしないために効果的な予防が重要になります。運動前はストレッチなどの準備体操を十分に行うことが大切です。水分や塩分(ミネラル)の補給も大事です。夏場はエアコンで冷やし過ぎないように保温を心がけましょう。繰り返し起こる「足のつれ」には隠れた疾患があるかもしれません。かかりつけ医に是非相談してください。

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