医療トピックス
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虚血性大腸炎
2023年10月
だれでも便に血が混じると驚き不安になるものですが、血便が出る病気のひとつに虚血性大腸炎があります。虚血とは血液の流れが低下または遮断されてしまうことで、大腸の粘膜に十分な血液が届かなくなることが虚血性大腸炎の原因です。
虚血を起こす原因には血管側の要因と腸管側の要因があり、複雑に絡んで発症すると考えられています。血管側の要因は糖尿病、高血圧、脂質異常症などに伴う動脈硬化や脱水などによる血流低下があります。腸管側の要因として重要なのは便秘です。便秘自体で、また強くいきむことによって腸がパンパン(腸管内圧上昇)になることや、便秘が解消されるときに腸の動きが亢進することで虚血になることがあります。
便秘になりがちな高齢の女性が発病しやすい傾向になりますが若い方にも増えている病気です。また4人に1人くらいの割合で再発しやすいので排便習慣や生活習慣のコントロールを行うことが重要です。
突然の強い腹痛に続いて下痢が起こり、徐々に血便が見られるようになるのが典型的な経過です。へその左下あたりが痛むことが多く(下行結腸やS字結腸が好発部位のため)、冷や汗や吐き気を伴うこともあります。
治療は大腸を安静にするために消化の良い食事を控えめにすることによってほとんどの場合は軽快します。重症例では絶飲食が必要なので入院し点滴します。
腹痛や血便は虚血性大腸炎だけでなく、大腸憩室炎、感染性腸炎、大腸がん、潰瘍性大腸炎などでも認められ、それぞれの病気で治療方法が異なるため、まずは診断が重要です。こうした症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。