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血液検査の基準値の意味

2023年4月

 病気の疑いがあって受ける検査、通院中の病院での定期検査、会社の健康診断など、色々な場面で血液検査を受けることがあります。そしてその結果を受け取る時に「少し低いですね」とか「だいぶ高いですね」とかと説明を受けることがあります。それは一体何に対して高いあるいは低いのでしょうか。

 参照される数値には「臨床判断値」と呼ばれるものと、「基準範囲」というものとがあります。
 「臨床判断値」は特定の病気に関してその診断・治療・予防に関する判定の指標になる数値です。細かくあげると、病態識別値・治療目標値・予防医学判定値などに分かれます。例えば腫瘍マーカーなら癌の可能性が高いのはこの数値を超えた時だ(病態識別値)とか、糖尿病ならHbA1cはこの数値以下に維持するように治療すべきだ(治療目標値)とか、健康診査で中性脂肪やコレステロールがこの数値を超えていると将来脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるので注意が必要だ(予防医学判定値)とかといった目安になる数値です。これらの数値は様々な目的に応じた研究を行ったうえで決定されます。つまり健康維持のために編み出された数値なのです。

 それに対して「基準範囲」とは、健康な人なら大体このくらいの数値に収まりますよ、という範囲を表したものです。ここでいう健康な人とは、病気にかかっていない人の集団から、まず病気の原因になりそうな肥満・飲酒・喫煙などの要素を持つ人を除外して、更に残りの人の中で平均的な数値から高い方と低い方に大きく外れすぎた人も除外した残りの人の集団を指します。その健康と思われる人の検査結果はこの中に収まりましたという範囲を示したものが基準範囲です。これは「普通」を数値化した統計データであって、臨床判断値のような病気の治療のために研究の末に導き出された数値ではありません。

 このように「臨床判断値」と「基準範囲」 は似て非なるものですが、検査の結果表には健康診断でも定期検査でも特に区別なく「基準値」として記載されてきますので、混乱を生じやすいかも知れません。検査結果が基準範囲内であることと治療が不要ということは同じではありません。もし検査結果を見て疑問を憶えたら一度このコラムを思い出してみてください。

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