医療トピックス
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女性と骨粗鬆症
2022年11月
日本の骨粗鬆症患者数は男性300万人に対して女性1000万人と推定されています。世界中のどの国でもこのような傾向が見られます。骨粗鬆症はなぜ女性に多いのでしょうか?
骨にはもともと、骨を壊す細胞(破骨細胞)と骨を作る細胞(骨芽細胞)とが備わっていて、毎日のように古くなった骨を新しい骨で置き換えています。このようにして、骨は日々若さを保ち続けられるのです。ところが、女性ホルモン(エストロゲン)が少なくなると、骨を壊す細胞の働きが活発になり過ぎて、骨を作る細胞の働きが追い付かなくなってしまいます。そのために、女性ホルモンの分泌が停止してしまった閉経後女性では骨がどんどん壊されて、スカスカで折れやすく弱い骨になってしまいます。
ところであなたはこのような説明を聞くと、「男性にはそもそも女性ホルモンがないはずでしょ? それなのに、なぜ男性の骨は折れないの?」と思わないでしょうか。実は、男性の体の中にも女性ホルモンが少しだけ流れているのです。ヒトの体にはたくさんの脂肪がついていますね。実はこの脂肪組織には、男性ホルモン(アンドロゲン)を女性ホルモンに転換する酵素がかくされています。
男性ホルモンは加齢とともに少しずつ減っていきますが、女性の閉経ほど急激に低下することはありません。そのために、閉経後の女性と同じ年代の男性を較べると、男性ホルモンが体の中にまだ十分にある男性の方が、脂肪で転換された女性ホルモンを女性よりもたくさん持っている、という不思議なことになってしまうのです。骨粗鬆症患者さんが女性に多い理由は、このようなことだと考えられています。