医療トピックス
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朝起きられない、学校へ行けない
2022年1月
思春期に発症しやすい起立性調節障害をご存知ですか。コロナウイルス蔓延による運動不足によって悪化するため、最近認知度が高まってきました。
立ちくらみ、気分不良、朝の起床困難、頭痛、腹痛、動悸など様々な症状がありますが、特徴的なのは午後から夜にかけて回復することです。すると朝は学校に行けないのに夜は横になったままテレビやスマホを楽しんでいるため、まるで「怠け病」に見えるのです。夜は元気になるため今度は寝付けなくなり、ますます朝起きられなくなってしまいます。
原因として、自律神経と体のアンバランスと言われています。自律神経は血圧、脈拍などを無意識に調節する大変重要な神経です。体が大きくなり脳が高いところに位置するようになると自律神経が働いてきちんと血液が脳に行くように血圧を調整しなければならないのですが、体の成長に自律神経の成長が追いつかないと、十分に血液を送れずに脳の機能が低下しさまざまな症状が出るのです。
起立時脳に血液を送るためには、自律神経に加えて下半身の筋力が重要な役割を持ちます。なぜなら、立ち上がると重力によって血液が足に行ってしまいますから、それを体に戻すためには筋肉が収縮して持ち上げる必要があるからです。
過度な安静によって、筋力低下と自律神経機能が悪化、そして下半身への過剰な血液移動、その結果として脳血流が低下しますます動きたくなくなるという不調は「デコンディショニング」と呼ばれ、健康な大人でも起こりうることがわかってきました。
治療が必要な場合もありますが、日常生活の工夫でもある程度の改善が見込めます。急に起き上がらないで頭位を下げてゆっくり立ち上がる、立ち上がったら起立保持しないで動くようにする、塩分と水分を多めに摂り、毎日よく歩き筋力低下を防ぐ。またストレスで悪化するので、本人や家族が「心の持ちよう、気合い」だけでは治らないということを理解することも大切です。
これらのことを行うだけで多くの方は2、3ヶ月以内に改善しますが、不調が続く場合治療が必要になりますのでかかりつけ医にご相談ください。