医療トピックス
区民の皆様にその時期にマッチした情報をお知らせします。
話を聞いてくれる先生の見つけ方
2021年2月
いつも「医療トピックス」を楽しく読んで下さっている皆さんに、今日はちょっといつもとちがう話をしたいと思います。
皆さんは「インフォームド・コンセント」という言葉を耳にしたことがあると思います。英語で「インフォームド」は「知らされた」、「コンセント」は同意という意味です。これは、診療内容を知らされた上で納得したら同意して、治療なり検査なりを受けて下さい、という診療スタイルを意味します。
私事で恐縮ですが、私は先日、携帯電話の機種変更に行ったとき、様々な説明をされて、同意したら何枚もの文書にサインをさせられました。後日のトラブルを回避するためのものですが、最近は病院でもこのようなやり方が導入されたわけです。つまり、携帯電話を買うのも、治療を受けるのも、契約に基づいて行うわけですから、互いのトラブルを避けるために、知識・情報量の多い当事者が相手方に告げて、相手が同意した上で契約を実行しなさい、ということです。
では、このインフォームド・コンセントは誰が考えたものでしょうか?以下は私見ですので異論もあると思いますが、その淵源は、1962年にアメリカのJ.F.ケネディ大統領が発表した教書「消費者の4つの権利」ではないかと思います。その内容をご紹介しますと、ケネディ大統領は消費者は4つの権利を持っている、としました。
1.安全を求める権利
2.知らされる権利
3.選ぶ権利
(4.はあとで解説します)
2と3はまさしくインフォームド・コンセントであり、1も消費者=患者の場合、当てはまることでしょう。それでは4つめの権利とは? それは、
4.意見を聞いてもらう権利
です。何だか耳慣れない言い方ですが、原文に当たっても、意見を言う権利ではなく、聞かれる権利、とあります。しかし、この言い方の中に、企業と消費者が対立するものでなく、融和を図りつつ事案に対処するのが正しいやり方だ、とのケネディ大統領の信念が込められていると私は思います。さすがは本質を見抜く能力に長じたこの大統領ならではの物言いだと思います。
さて、これら消費者の権利は、そのまま患者さんにも当てはまります。ですが、1、2、3は実践できるお医者さんも、4までできる先生は探さないとみつかりません。患者さんの訴えをしっかり受容してくれるのは、何よりも医者としての経験がモノを言うからです。では、そのような先生はどこにいるのか?実は、どこでもない、皆さんの身近にいる開業医の先生たちです。開業医として地元医療に貢献する先生は、大体長年の病院勤めのあとが多いので、経験も知識も豊富で、何より優しい先生が多いです。皆さんも地元の先生に意見を言ってみて下さい。きっと受け入れてくれますよ。(ただし、次の患者さんもいるので、待合室の込み具合も気にして下さいね。)