医療トピックス
区民の皆様にその時期にマッチした情報をお知らせします。
中野区・区民健診で胃内視鏡検査による胃がん検診が始まりました。
2020年12月
がんは日本人の死因の第1位であり、中野区でも第1位となっております。胃がんは、50歳代以降に罹患する人(かかる人)が多く、我が国のがんによる死亡原因の多くを占めるがんです。しかし、診断と治療の進歩により早期に発見し治療を行うことで、がんが治る確率が高くなっています。
平成28年に厚生労働省の指針が改定されて、これまでの胃部X線検査(バリウム検査)と同様に胃内視鏡検査が胃がん検診に推奨されました。中野区・区民健診では令和2年12月から胃内視鏡検査による胃がん検診が始まりました。
内視鏡検査は、先端にカメラ(内視鏡)が付いた細く柔らかい管(チューブ)を使用し、カメラのモニターを見ながら食道・胃・十二指腸の内部を直接観察する検査です。内視鏡には口から、または鼻から挿入するものがあり、それぞれ「経口内視鏡」「経鼻内視鏡」と言います。内視鏡検査の一番の特徴は胃の粘膜を直接見ることです。色の変化やわずかな粘膜の隆起や凹み、模様のちがいが認識できるため小さな病変が発見でき、異常の疑いがある場合に生検といって病変の一部をつまみ診断の確定に役立ちます。内視鏡検査による偶発症が発生する割合は全国調査によると0.078%と報告されています。この中には鼻出血などの軽微なものから入院例まで含まれています。
胃部X線検査(バリウム検査)は造影剤(バリウム)と発泡剤(胃をふくらませる薬)を飲んで検査台の上で体の向きを変えてレントゲン撮影をします。風船を胃とすると、ふくらました風船にバリウムを入れてシャカシャカと振り、風船(胃粘膜)へのバリウムの付着具合を確認して病変を発見するような検査なので、ある程度の大きさになった病変の発見、胃全体の形や病変の位置関係の把握はでき、スクリーニング(ふるいわけ)することが主な検査の目的です。デメリットはX線による被ばく、異常が疑われた場合には内視鏡検査をする必要がある、バリウムによる便秘を招くことがあるなどです。
内視鏡検査、X線検査はどちらもメリット、デメリットがありますが、内視鏡検査が追加されたことは受診者の方にとっては選択肢が広がったということです。どちらの検査を選択するか迷ってしまったらかかりつけ医にご相談するといいでしょう。
(※導入年度にあたり、対象者を限定して実施しているので、“区民健診のうけかた”を参照してください。)