医療トピックス

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潰瘍性大腸炎を知っていただくために ~周囲の方々を含めて~

2020年11月

 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症や潰瘍を生じる炎症性腸炎(IBD)の1つです。体質、環境、ストレスなどの要因が複合的に関与し、それらが引き金となって発症すると考えられていますが、正確なメカニズムならびに完治できる治療法は未だ認められていません。残念ながら再燃と緩解を何回も繰り返す疾病です。発症年齢は若年者(10~20歳代)が多く、国内に約18万人の疾病者がいる難病(厚生労働省指定)です。
 この疾病の症状は個人差が大きく、軽症から重症まで大きな差があります。よくある再燃のきっかけは、食あたり、過労・ストレスの蓄積、感冒・インフルエンザ感染症などですが、原因なく再燃することもあります。特に環境の変わる新年度や、秋期から冬期にかけて感冒やインフルエンザ感染症の流行期は注意を要します。個人差はありますが、疾病が緩解すれば、症状の多くは改善し、健康人と同様の日常生活を過ごすことができます。なお、重症度分類より、軽症から中等症では通院治療が1~2ヵ月に1回程度必要となり、中等症から重症においては入院治療が1~3ヵ月以上必要となることが少なくありません。

・軽 症:腹痛、軟便、顕血便(血便がないか排便の半数以下でわずかに血液が付着)、微熱(37.5℃未満)、倦怠感。
排便回数1日4回以下

・中等症:激しい腹痛、水様便、粘血便、微熱(37.5℃未満)、倦怠感、貧血、体重減少。
排便回数1日5回程度

・重 症:猛烈な腹痛、下血、発熱(37.5℃以上)、倦怠感、貧血、体重減少。
排便回数1日6回以上

 現在、本疾患を完治に導く内科的治療はありませんが、重い症状でなければ消化がよく刺激の少ない食事を心がけながら通院治療を行います。主に用いられる薬剤にはペンタサ/アサコール製薬、副腎皮質ステロイド薬、免疫調節薬または抑制薬、抗TNFa受容体拮抗薬などがります。また、急性期や再燃時には医療機関にて血球成分除去療法を施行することもあります。さらに症状が重くなれば、入院治療を要します。内科的治療では不十分であれば、手術することもあります。服薬はとても重要であるため、飲み忘れや勝手に服用を止めないことが肝要です。
 前述のように、若年者での発症が多いため、状況によって教育現場や仕事場での配慮・支援が大切となります。本疾病は遺伝病や感染症ではありません。治療によって緩解状態になれば、健常人とほとんど変わらない日常生活ができます。しかしながら、症状は環境や心理的要因による影響を受ける傾向にあり、再燃のきっかけとなることもあります。したがって、家庭と同じように学校や職場などの社会生活において、自分だけでなく家族をはじめとする周囲の方々の理解や多岐に渡る支援などについて十分に話し合うことをお勧めします。

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