医療トピックス

区民の皆様にその時期にマッチした情報をお知らせします。

トピックス一覧へ

高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用

2020年9月

 高齢になると、薬の副作用の頻度が高くなり、重症化しやすくなります。その要因として、二つ考えられます。
 一つ目の要因は、高齢者は複数の持病を持つ人が増え、複数の病院、診療科を受診することにより、病気の数だけ処方され、薬も多くなります。70歳以上の高齢者では6つ以上の薬を使っていることも珍しくありません。このように薬が多くなると副作用が起こりやすくなります。
 二つ目の要因として、加齢により、薬の効き方が変化することも影響しています。薬は一般的に、内服後、胃や小腸で吸収され、血液にのって全身に運ばれ、目的の組織に到達すると効き目を発揮します。そして肝臓で分解されたり、腎臓で排泄されたりして、効き目がなくなるのですが、高齢者は、肝臓や腎臓の機能が低下して、いつまでも体内に薬が残ってしまい、薬が効きすぎてしまうことがあるのです。

 また高齢者は、薬によっては注意すべき副作用が発現することもあり、使用を控えたい薬もあります。
 その代表として不眠症の薬として頻用されているベンゾジアゼピン系の薬があります。副作用としてはふらつき、転倒などに加え、また認知機能低下などがみられることがあります。このような薬に熟知した、かかりつけ医とも相談の上、十分注意しての薬の服用が必要になります。

 一方、アドヒアランスといって、積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること、すなわち、医師から処方された薬を、その必要性を理解し、正しく内服すること、を意味する概念があります。
 高齢者では、認知機能、視力、聴力の低下に伴い、前述のアドヒアランスの低下が問題になります。さらに、コロナ禍の現状において、受診控えしている高齢者も多いようです。必要な薬も飲めずにいることも懸念されます。多すぎる薬は減らす、ことは大事ですが、薬を使わなくていい、というわけではありません。薬は正しく使えば病気の予防や生活の質の向上に役立ちます。薬を飲み忘れたり、勝手にやめることによるトラブルも非常に多いので、処方された薬はきちんと使うこと、そして自己判断でやめないこと、が重要です。

 これらの解決法としては、薬剤師による服薬指導、複数の医療機関で薬を処方されている場合は、お薬手帳を活用し、すべての処方を一元化する、1日3回服用から2回あるいは1回への切り替えや、食前、食直後、食後30分など服薬方法の混在を避けるなど処方を簡便化する、薬をPTP 包装からはずした状態で1 回服用分ごとにまとめて分包する一包化を活用する、貼付剤の使用により服薬数を少なくしたり、口腔崩壊錠を用いるなど服薬方法を工夫する、服薬カレンダーを利用する、などがあります。

 以上より、高齢者の薬との付き合い方として、
 ①自己判断で薬の使用を中断しない
 ②使っている薬は必ず医師や薬剤師に伝える
 ③むやみに薬を欲しがらない
 ④若い頃と同じだと思わない
 ⑤薬は優先順位を考えて最小限に
 などが挙げられます。いずれにしてもかかりつけ医や薬剤師とよく相談することが大切なのです。

訪問看護ステーション職員募集

「まちの保健室」各種測定&健康相談

新規開業案内

医療情報提供&逆紹介MAP

会員専用ページ

ページトップへ