医療トピックス
区民の皆様にその時期にマッチした情報をお知らせします。
においを嗅ぐトレーニングをしましょう
2020年8月
においを感じる力(嗅覚)は10歳台でピークに達した後、一定の機能を保って男性は60歳代、女性は70歳代から急に悪くなります。60歳代くらいまでは大体同じくらいの嗅覚を持っているのですが、60歳代を過ぎたあたりから同じ年齢でも嗅覚がよい人とそうでない人の差が激しくなります。
年を取るにつれ嗅覚は衰えていきますが、それに気が付いていない人がほとんどです。なぜなら、私たちは同じにおいをかぎ続けていると、そのにおいを感じなくなったり、非常に弱くしか感じなくなるというように順応してしまい、普段の生活でにおいを意識することが少ないからです。
嗅覚が低下すると「食べ物が腐っていることに気が付かない」「ガス漏れに気が付かない」など命の危険を招く可能性があり、また、嗅覚が低下している高齢者は嗅覚が正常な高齢者より認知症になりやすく、寿命が短くなるともいわれています。
60歳代になると急激に低下する嗅ぐ力ですが、リスクを回避することで低下を食い止め、元の状態に戻すこともできます。
回避するべきリスク
①鼻の病気(慢性副鼻腔炎、風邪の後の嗅覚障害、アレルギー性鼻炎)を治療する
②生活習慣病を改善する(動脈硬化のある人は嗅覚低下を起こしやすい)
③禁煙する
④運動をする
⑤風邪を引かないよう心掛ける(引いたら早く治す)
また、嗅覚にかかわる嗅神経細胞は死滅と再生を繰り返しているまれな細胞ですが、においの刺激を与えないと細胞の死滅が進み、嗅覚が衰えてしまいます。最近は嗅神経細胞の再生を促す「嗅覚刺激治療」が注目されています。朝晩30秒ずつ、3種類のにおいを10秒ずつ嗅ぎます。その時「これは〇〇のにおい」と意識をして嗅ぐと効果がアップします。かぐにおいは好きな香水、コーヒー、レモン、お花など何でもよいです。簡単なので嗅覚の衰え予防のためぜひ始めてみてください。