医療トピックス
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背中の曲がりや痛み~ひょっとして圧迫骨折かも?
2020年4月
圧迫骨折とは
背骨がもろくなる骨粗しょう症では、骨がつぶれて圧迫骨折を起こしやすくなります。もっとも多いのは、背中と腰の境の圧迫骨折です。
転倒などで尻もちをついて背骨に衝撃が加わり、背骨がつぶれてしまうのです。とくに閉経した女性は、この圧迫骨折が急激に起こりやすくなるので注意が必要です。
圧迫骨折はなかなか自分で気付くことはありません。1つの骨が圧迫骨折を起こすと、まるでドミノ倒しのように、次々に周囲の骨にも圧迫骨折が起こります。圧迫骨折を1か所起こした人は、次に圧迫骨折が起きる確率が2.6倍になるといわれています。
症状は
圧迫骨折が起こると、背骨のカーブが変曲し、背が縮んだり、背中が曲がるなどの姿勢や身長の変化があらわれます。
寝返りをうったときに痛みが出るなど、体を動かしたときに痛みが起こりやすくなります。また、背筋をまっすぐ伸ばせなくなるため、これまで取れた高さのものが取れなくなったり、バランスが崩れて転倒しやすくなります。その結果、寝たきり状態になってしまうこともあります。
さらに、姿勢が悪くなることで、内臓が圧迫されて消化器症状などがあらわれることがあります。 圧迫骨折は、初期にはX線検査でわからないことも多く、MRIによる画像検査で診断されます。
治療は
圧迫骨折を防ぐには、骨粗しょう症の治療を行い、進行させないことが大切です。すでに圧迫骨折が起こってしまった場合は、コルセットを使った保存療法を行います。それでも骨が固定せず、強い痛みが続く場合は、手術が考慮されます。
圧迫骨折に対する手術はバルーン・カイフォプラスティー(BKP)という「椎体形成術」で行うことが多くなってきています。つぶれた骨をバルーンで膨らませて、そこにできた空洞に医療用骨セメントを注入して修復する方法です(図参照)。骨セメントが固まると、潰れた椎体は元のように修復されます。
注意しなければならないのは、椎体形成術を行った椎体の上下の骨が圧迫骨折を起こさないようにすることです。骨粗しょう症の治療を続けることはもちろん、普段からコルセットを装着して激しい運動を控えるなど、背骨に負担がかからない生活を送る必要があります。
つぶれた骨が椎体の後方に飛び出す破裂骨折では、骨折した骨が神経を圧迫して、しびれや麻痺などの神経症状があらわれます。破裂骨折に対しては、まず神経の圧迫を取り除き、骨折した骨にスクリューなどの金属を埋め込む「椎体除圧固定術」が行われます。
最後に
背中の曲がりや痛みが気になる際は、お近くの整形外科にご相談ください。
椎体形成術(BKP)