医療トピックス
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胸やけ(酸逆流症状)のお話
2019年8月
食事をした後などに胸やけがすることはないでしょうか。胸やけとはみぞおちから上のあたりに熱くてヒリヒリするような灼熱感があることです。胸やけ以外にも、すっぱい液体がこみ上げてきて気持ち悪い、よくげっぷが出る、食べ物がのどに詰まった感じがするなどの症状がある場合は、逆流性食道炎という病気の可能性があります。
これらの症状は、「本来胃にあるべき胃酸が食道に逆流してくること」が一つの原因になっています。慢性的な咳や喘息、のどの痛みやのどの違和感、胸の痛みなどの症状もじつは胃酸が食道に逆流してくることが原因となっている場合があります。
逆流性食道炎は日本では頻度が低い病気と考えられてきましたが、食生活の欧米化やピロリ菌除菌の普及に伴う胃酸分泌の増加などから、最近急激に増えてきています。
原因は、①食道と胃の間のしめつけ機能がゆるんでしまい、胃酸が食道に逆流すること。②食べ過ぎや肥満、おなかを締め付ける下着などでおなかの圧が上がると、胃酸が食道に上がってしまうこと。③脂肪分やたんぱく質・甘いものをとりすぎると消化のため胃酸が多く分泌されるため胃酸が逆流しやすくなること。④高齢になるとともに、背中が丸まってきたり、身長が低くなることにより食道がたるんだ状態になってしまい胃酸が上がりやすくなることなどです。
予防するためには、食べ過ぎや食べてすぐに寝るなどの生活習慣を改善すること。脂肪分やアルコール・刺激のある香辛料などを多く摂りすぎないことなどが大切です。また、骨を強くすることで、食道のたるみにつながる圧迫骨折を防ぐことも必要です。胃の構造上、左を下に寝たり、頭(上半身)を高くして寝ることも有効です。また、肥満や便秘を解消することや長時間の前かがみ姿勢を避けることも重要です。症状が出てしまったら胃酸を薄めるために白湯を飲むのも試してみてください。
胃酸を抑えるお薬でよくなる場合が多いですが、治療の中止でまた症状が悪化することも多いです。心疾患や、内視鏡検査で癌などの悪性病変がなければ深く心配せず、長い時間付き合っていく気持ちで治療をしていくのがいいでしょう。ご心配な方はかかりつけ医にご相談ください。