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AYA世代のこと知っていますか

2019年5月

 みなさんは「AYA(あや)世代」という言葉を聞いたことがありますか?
 AYAとは、「Adolescent and Young Adult(思春期や若年成人)」の略で、一般的に15歳から39歳までの年齢層の人を指し、がん医療において用いられています。

 AYA世代のがんには大きく二つの特徴があります。
 一つ目は、AYA世代は小児から成人への移行期にあたり、小児(15歳未満)に多く発生するがんと、成人に多く発生するがんのいずれも発生しますが、患者数はきわめて少なく(国立がん研究センターによると、2012年(平成24)の15~39歳のがん罹患者数は全国で約2万人、全体の2.49%にとどまる)、この世代のがん診療の専門家も限られており、最適かつ効果の高い治療法が十分に確立していないなど、ほかの世代のがんとは異なること、二つ目は、成長・発達段階で発症するがんであり、身体的な影響(がんそのものに加え、治療に伴う生殖機能への影響、二次がんなどの晩期合併症など)、社会的な影響(通勤や通学、就職、家族との関係、結婚や出産、経済的な負担など)をはじめとしてさまざまな課題を抱えているということです。

 AYA世代は、学業、就職、恋愛、結婚、出産など、様々なライフイベントが集中する時期です。同世代の人たちが学校生活や就職活動に励み、恋愛や友人との付き合いを楽しむ中、「がん」という病気をかかえ、将来に対する不安や孤独を感じている人も少なくありません。そして、AYA世代のがん患者さんには、周囲の方を悲しませたくない、心配をかけたくない、自分の弱さを見られたくないという思いから、ひとりで悩みや不安を抱え込んでしまう方が多く、治療以外のことを誰に相談して良いかわからず、解決できずにいる方も多くいます。
 たとえばこれまでの学校生活や部活動、友人との付き合いなどが中断されることも多く、学校行事や受験などの重要なイベントが予定通りに行えないことに対する不安や落胆は患者さんにとって大きな負担となります。また就労、恋愛、結婚、出産などのライフイベントが、突然の入院などにより難しくなるため、精神的、身体的、経済的困難を抱えている患者さんも少なくありません。
 治療と就学・就労の両立、がん治療と妊娠・出産、お子さんやご家族との関係など、患者さんのライフステージや状況は様々です。

 患者さん一人ひとりのニーズに合わせた支援により、自分らしく生活することがとても大切である一方、小児科領域および成人領域の狭間に位置する年代でもあるため、小児および成人領域のがん専門家、看護師、薬剤師を含むさまざまな専門の職種が密に連携して診療、サポートを行うことが大切です。すなわちこのような多様なニーズに包括的・継続的に対応するための体制の構築やさらなる充実が求められています。
 そしてAYA世代のがんは、患者本人も周りの人も認識が少なく、これからのがん医療の課題になっています。周囲の理解が進み、患者さんが社会に属している一員として、社会の位置を保ちながら治療を行うことが大事です。

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