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医療トピックス
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漢方薬にも副作用はありますか?
2018年11月
漢方薬は副作用がないので安心だという声を聞きます。しかし、漢方も薬である以上、西洋薬に比べれば頻度は少ないのですが副作用は皆無ではありません。
マオウ(麻黄)を含む方剤は心臓を刺激しますので、高血圧・狭心症・不整脈の持病のある人には要注意です。また前立腺肥大の人は尿が出にくくなることがあります。
カンゾウ(甘草)を含む方剤でむくみ・高血圧・筋肉痛などの症状が出ることがまれにあり、とくに甘草を大量に含む方剤や、甘草を含む方剤を併用した場合には注意が必要です。
ケイシ(桂枝)やニンジン(人参)を含む方剤で発疹のでる場合が、またサイコ(柴胡)とオウゴンを含む方剤で間質性肺炎・薬剤性肝障害や膀胱炎をおこす例があります。サンシシ(山梔子)を含む方剤で腸間膜静脈硬化症の報告がありました。
副作用とまぎらわしいものに「瞑眩(めんげん)」があります。漢方薬が効果を現すまえに、一時的に体調が悪化したり予期せぬ症状(一時的高熱、下痢、湿疹など)がでる現象です。この場合は薬をそのまま続けていればすぐに症状は消失します。
いずれにせよ、体調の異変に気づいたら、すぐ主治医にご相談くださるのが安全です。
また、副作用とは異なりますが、妊娠初期(第12週頃まで)は漢方といえども薬を避けるにこしたことはありません。妊娠中期以降は比較的安全に使用できますが、早産・流産の危険性があるダイオウ(大黄)、ボウショウ(亡硝)、トウニン(桃仁)、ボタンピ(牡丹皮)、コウカ(紅花)、ゴシツ(牛膝)などの生薬を含む処方は慎重であるべきだとされています。
参 考
- *麻黄を含む方剤:
- 葛根湯、小青竜湯、麻黄湯、麻杏甘石湯、麻黄附子細辛湯 など
- *甘草を大量に(3g/日以上)含む方剤:
- 小青竜湯、人参湯、芍薬甘草湯、甘麦大棗湯 など
- *桂枝を含む方剤:
- 葛根湯、柴胡桂枝湯、五苓散、小青竜湯、桂枝茯苓丸、麻黄湯、桂枝加芍薬湯、小建中湯 など
- *人参を含む方剤:
- 小柴胡湯、半夏瀉心湯、人参湯、補中益気湯、六君子湯十全大補湯、大建中湯 など
- *柴胡と黄ゴンを含む方剤:
- 小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡桂枝湯、などの柴胡剤
- *山梔子を含む方剤:
- 黄連解毒湯、加味逍遥散 など
- *妊娠中は投与に慎重であるべき方剤:
- 桂枝茯苓丸・大黄牡丹皮湯・桃核承気湯などの活血駆瘀剤、潤腸湯・麻子仁丸などの緩下剤 など