医療トピックス
区民の皆様にその時期にマッチした情報をお知らせします。
2週間くらい風邪が治らないって何だろう
2015年11月
耳鼻咽喉科で診察していると、なかなか風邪が治らない、と言う方がこの時期はよく来ます。その症状は咳が続く、のどが痛い、痰がからむ、鼻みず、鼻つまりなどです。熱がある、体がだるい、寒気がするといった症状を言う方は多くありません。さてこれは風邪なのでしょうか。
体調を崩し症状が出始めた時に診察を受けると、風邪ですね、と言われたことのある方は多いと思います。薬を飲んでその後数日のうちに治ってしまうのが、いわゆる風邪と考えてよいでしょう。医者に行かなくても薬を飲まなくても自然に良くなることもあります、そのような経験をされている方もいると思います。
しかし2~3週間も上記のような何らかの症状が続いている場合、これは風邪ではありません。さてどこが調子悪くなっているのか考えてみましょう。呼吸する時の空気の通り道の始まりを上気道といいます、つまり、はなとのどです。ここに長引く炎症が起きているはずです。ちなみに気管支と肺は下気道といい、さらに咳などが長くなるときはこちらも要注意です。
鼻水、鼻つまりがずっと続いているなら、アレルギー性鼻炎や急性副鼻腔炎を考えなければなりません。気温が下がってくる10月以降はアレルギー症状が出やすい時期ですが、それに気づいていない方も少なくありません。くしゃみが止まらず鼻をかみすぎて鼻が赤くなったり、鼻がつまり過ぎて頭がぼーっとして寝不足になったり、結構つらいものです。
一方、急性副鼻腔炎の症状は鼻水というよりもやや濁った粘り気のある鼻汁が多く、それとのどになにか流れているような感覚(これを後鼻漏といいます)があります。鼻をかんでもまだ残っている感じで、鼻がつまり頭痛を伴うこともあります。
また、のどがヒリヒリ痛む、痰がからむ、咳が出て夜がつらい、このような症状が長く続いて困るという方に多くみられるのが、咽頭炎や喉頭炎です。声がかすれてくることもあります。気温低下、乾燥(湿度の低下)がのどをいじめるわけです。 はなとのどはつながっているので影響し合っています。なかには咳がなかなか止まらないという方で喘息に似た状態になっている人もいます。これもアレルギーに関連があり、咳ぜんそく、アトピー咳と診断されることがあります。小さい子では鼻汁がのどに流れて咳が続くこともあり、気管支炎や肺炎になっていることもあります。耳を診たら中耳炎になっているということは結構あります。
風邪がなかなか良くならないと思って診察を受けに行く際は、医者にどうしましたかと聞かれたときに、風邪ですとは言わないで、今困っている症状を詳しく説明して下さい。それが適切に診断し治療をする助けになります。