医療トピックス

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金メダルを生んだ医師たち

2014年4月

 ソチオリンピックが終わりましたが、今回も日本人選手が大活躍してくれました。特にスノーボードのハーフパイプで若い2選手が銀、銅メダルを獲得したのは記憶に新しいころです。ところであの競技で大本命とされていたのが、アメリカのショーン・ホワイト選手です。ホフイト選手は過去2大会で金メダルを連続して取ったスーパースターです。そのホワイト選手ですが、実は、生まれた時に大変な病気を持っていました。それは、「ファロー四徴症」という心臓病の一種です。これは、四つの異常な特徴を持つ心臓病という意味で、発見したファローという医師の名にちなんで名づけられました。

 ご存知のように、心臓は血液を送り出す臓器です。その心臓は実は内部に仕切りの壁があって右と左に分かれています。図は正常の心臓の内部ですが、右側からは肺に古い血が流れて行って、肺で新しい血となり、左側に戻ってきて全身に血液が送られます。 さて、ファロー四徴症の赤ちゃんでは生まれつきこの仕切りの壁に穴があいていて(これが1番目の異常です)、右側から出る血管が狭くなっています(これが2番目の異常です)。こうなってしまうと、右側に戻ってきた古い血は肺に向かつて流れにくくなり、左側に入り込もうとします。通常、左側は右側よりも強いので、入り込みを阻止できますが、ファロー四徴症の3番目の特徴として、右側も左側と同じくらい強い、ということがあり、すると右側の古い血が左側に入ってしまいます。さらに、4番目の特徴として、左側から出る血管が右側に移動しているため、古い血は左側から出る血管に入って全身に行ってしまいます。また、肺に行く血管が狭いために、肺を流れる血が減り、左側に戻ってくる新しい血も減ります。
 以上のことから赤ちゃんの全身には古い血が沢山流れることになります。古い血は酸素が足りないので、全身が酸素不足となり、皮膚が青っぽくなります。これをチアノーゼと言います。チアノーゼの赤ちゃんは成長しても運動するとすぐ苦しくなり、とても可哀想です。昔はこの病気を治す方法が無かつたので、赤ちゃんの時に亡くなるか、ずっと不健康な人生のまま一生を終えていました。もちろん、運動などはできませんでした。

 このような状況を一変させたのが、50年ほど前から始まった心臓の外科手術です。心臓超音波検査や人工心肺などの技術革新もあって、現在ではファロー四徴症などの重症の先天性心疾患(生まれつきの心臓病)の診断と治療が飛躍的に進歩したのです。ショーン・ホワイト選手も生まれてすぐにこの病気であると正確に診断され、2回の心臓手術を受けて完治しました。彼のように、私たちに感動と生きる勇気を与えてくれる青年の活躍の陰にはまた、心臓専門医たちのひそかな活躍があつたのです。

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