医療トピックス
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ぜーぜーしないのに喘息?
2014年2月
「咳が長引いてこまっています」と医療機関を受診するかたが年々ふえています。
長引く咳は肺炎や結核、肺がんなど重大な病気が原因のこともあり、2週間以上長引くときには、胸部のレントゲンなどの検査が必要となることもあります。
しかし、胸部レントゲンやスクリーニングの採血検査でも明らかな異常がなく、聴診器での診察でも問題なし。咳止めを処方し、しばらくして来院してもらうと「咳が全然とまらず、夜もねむれません、困っています」という場合があります。実はこのとき、医師も少し困ってしまうことがあります。原因検査および治療をどのようにしていけばよいか、その根拠が乏しいからです。
このような状況の時、大事な病気のひとつに咳喘息という病気があります。咳喘息という病気を聞いたことはありますか?
日本では2005年にはじめて咳嗽(がいそう)のガイドラインに記載された、新しい病気のひとつであり、あまり耳にしたことがないのはそのためです。
なぜこの病気が大事かというと、8週間以上続く咳嗽の原因で一番多いのは実はこの咳喘息であり、しかもそのままにしたり、適切な治療をしないと本当の喘息になる可能性があるからです。ある報告では咳喘息の方の30%くらいが、そのうち気管支喘息になるといわれています。
咳喘息は気管支喘息のときのようなぜーぜー、ひーひーする喘鳴や呼吸困難がなく、慢性の咳嗽が唯一の症状です。胸部レントゲンや聴診所見も異常がありません。採血検査や呼吸機能検査も異常を認めないことがほとんどで診断にいたらないこともあります。
では、どのように咳喘息であると診断するかというと、8週間以上咳嗽が続き、気管支拡張薬が有効である場合です。気管支拡張薬が効いてはじめて、咳喘息といえるので、再診時でないと本来は診断ができません。
咳喘息を疑うヒントがあります。
- 夜や早朝に咳が強い
- 冷たい空気や会話で咳がでやすい
- 感冒にかかったあとに咳だけながびく(咳止めがきかない)
- 同じような季節に咳がながびいたことがある
- まったく咳がない時間もあるが、一度でると止まりにくい
このような咳の出方をする場合には医療機関を受診してみることをお勧めします。
最後に治療ですが、吸入や飲み薬の気管支拡張薬を使用することが診断にも大事です。基本的に治療は気管支喘息に準じた薬剤となります。
前述したように、咳喘息からやっかいな気管支喘息に30%がなるといわれていますが、吸入ステロイドという薬を使用するとその気管支喘息になることを抑えることができます。
よくなったらすぐ薬をやめるのではなく 徐々に薬剤の調整をすることが重要です。症状を繰り返したり、気管支喘息にならないように主治医の指示に従いましょう!