医療トピックス
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動悸(どうき)のお話
2013年9月
動悸とは
動悸(どうき)とは普通は感じることのない心臓の拍動が自覚されることです。一言で動悸といっても自覚の仕方はドキドキ、バクバク、ドックンドックンなどいろいろ。でも胸に感じる症状なので、このまま心臓が止まっちゃうんじゃないか…、死んじゃうのかな…など、とっても不安になり、夜中だったりすると救急車を呼んだほうがいいのかな…、なんて考えることもありますよね。そんな時、少し冷静になって自分の体を観察してみてください。そのためのヒントをお教えしましょう。
動悸の原因って?
動悸の原因にはいろいろなものがありますが、大ざっぱに分けると脈拍が早くなる動悸と早くならない動悸があります。また脈拍が整った一定のリズムで打っているのか、バラバラなリズムで打っているのか、ときどき跳ぶようなリズムなのか、といったことでも原因が異なります。でも大切なことは、そのほとんどがすぐ命にかかわるようなものではないということ。多くはあわてることのないものなのです。
脈拍をとってみましょう
動悸を感じたら、あわてずに、まずは深呼吸をして脈拍をとってみましょう。自分で脈拍をとるときもっとも簡単な場所は手首です。左右どちらでも構いませんが、どちらか一方の手首を甲側に伸ばして、反対側の人差し指、中指、薬指の3本で手首の内側を触ってみると、真ん中に2本の固いスジがありますが、このスジから3本指を少し親指側(体から見ると外側)にずらすと橈骨(とうこつ)動脈に触れることができます。(写真)
まず脈拍数を見てみましょう
脈が触れたら3本の指で脈拍を感じ、時計を見ながら脈の数を数えてゆきます。1分間数えるのは大変なので15秒間数えてその数を4倍しましょう。15秒間に15回触れれば60回/分、20回なら80回/分、25回なら100回/分という具合です。
一般的に脈拍が1分間に100回以上になると頻脈といいますが、これは安静にしているときのことです。走ったり階段を上ったりした直後に脈拍が100回/分になってもそれは異常ではありません。4~5分安静にしてからもう一度計測しましょう。
脈のリズムは?
次に脈拍のリズムをみてください。しっかりメトロノームのように規則正しく打っているか、規則正しいけど時々抜けるのか、完全にバラバラなリズムなのかを感じてみてください。脈拍が時々抜けるようなときは期外収縮という不整脈が疑われます。また脈拍が完全にバラバラに乱れている場合は心房細動という不整脈の可能性があります。どちらも心臓の基礎疾患が隠れていないか調べる必要があります。
脈拍数が60回~100回/分で規則正しく打っていて胸の痛みや苦しさを感じない動悸の場合、心因性の可能性があります。
どんな時に病院に行けばいいの?
動悸とともに気が遠くなったり、冷や汗が出たり、胸が締め付けられるように苦しくなったりする場合には、なるべく早く近くの医療機関に行くべきです。歩くことが困難な場合は救急車でも構いません。
でもそのような症状がない場合には、落ち着いて脈拍を観察しながら、楽な姿勢で安静にしてしばらく経過を見てみましょう。しばらくしておさまってくるようなら、その時間や状況、脈拍数や脈のリズムなどをメモしておきましょう。後日かかりつけ医に相談するとき役に立ちます。
動悸は胸に感じる症状なので不安感からパニックになり、自律神経を興奮させ、さらに脈拍が速くなる悪循環に陥りやすい症状といえます。こんなときはひとまず落ち着いて自分の体を冷静に観察してみましょう。それだけで症状が落ち着くこともありますし、かかりつけ医を受診した時、診断の助けにもなるのです。