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更年期障害

2024年3月

 閉経の前後5年間を更年期といい、この期間に現れる様々な症状の中で、明らかな病気によらない症状を「更年期症状」、これらの症状の中で日常生活に支障がある状態を「更年期障害」と呼びます。女性ホルモンの変動と加齢という身体的因子に加え、性格を基盤とする心理的因子、家庭や職場における対人関係等の社会的因子が総合的に関与して発症に至ると考えられています(図1)。
 更年期症状は、ほてり・発汗等の血管運動神経症状、めまい・動悸・胸部絞扼感・頭痛・肩こり・腰背部痛・関節痛・冷え・しびれ・易疲労感等の身体症状、うつ・不安・不眠等の精神症状から構成されます。
 管理・治療の目標は患者さんのQOL向上であり、更年期症状の完全な消失ではありません。診療を継続していくうちに、患者さんが自分を取り巻く身体的・心理的・社会的状況を受容できるようになることが大切と考えています。
 まずは患者さんの訴えに耳を傾け、背後にある心理社会的要因を探索することが何よりも重要です。次に生活習慣に関する詳細な問診を行い、不適切な習慣があればその改善を指導します。心理療法の有効性も明らかにされています。
 薬物療法としては①ホルモン補充療法、②漢方薬、③向精神薬 などが用いられます。 ホルモン補充療法は単なる更年期障害の治療だけではなく、閉経後女性で増加する心血管疾患や骨粗鬆症の予防にも役立ちます。漢方薬としては当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸の「婦人科三大処方」がよく用いられます。うつ・不安・不眠などの精神症状が著明な症例に対しては、向精神薬の処方を必要とすることも多くあります。
 一般に予後は良好で、数年以内に上述の治療目標に到達することが多いですが、精神症状が主体の症例の一部は精神科専門医に紹介することがあります。

図1 更年期障害の発症メカニズム

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