医療トピックス

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急にドキドキしたら?

2016年11月

 今日は心臓の話です。ご存知のように心臓は筋肉でできています。筋肉を動かすためには電気信号が必要なのですが、この電気信号は図1のように、心臓の中を上から下に流れています(A)。この信号の通り道は普通、一本だけなのですが、人によっては生まれつきもう一本、別の通り道(B)を持っている人がいます(図2)。心電図をとると、(図1)では細い針の形をしていますが、(図2)では幅が広くなっていることで見分けます。このように生まれつき心臓の中に二本の電気信号の通り道を持っている病気を、「WPW症候群」といいます。WPWとは、この病気を発見した3人の医師の名前の頭文字を並べたものです。

 さて、このWPW症候群ではAもBも「上から下に」信号が流れていますが、時々図3のようにAは「上から下に」、Bは「下から上に」と信号が伝わることがあります。そうするとAを通過した信号は、すぐにBを逆流し、それがまたAに伝わり…と何度もこの経路をグルグル回ってしまいます。ヒトの脈拍は普通毎分70回ですが、この時は急に毎分120回以上となり、じっとしていても全力で走っている時くらいにドキドキと脈打ちます。これを発作性上室性頻拍と言います。この発作はとても苦しいので、ほとんどの場合、救急病院で処置を受け、ほぼ回復して帰宅することができますが、またそのうち同じ発作を起こすことがあります。

 原因は通り道Bにあるので、クスリでBをマヒさせたりして治しますが、薬が効かなかったり、副作用で使えなかったりする時は、手術してここを切断します。しかし、心臓の手術はとても大変なので、最近は血管の中に細い管を通して心臓まで届かせ、その管に電流を流してBを焼いてしまう方法が一般的です。これをアブレーションと言いますが、とても高度なテクニックを必要とします。しかし、こういった方法を駆使することで、現代はWPW症候群という先天的な病気も完治する時代が到来したことを知ってほしいと思います。

 ところで、急に胸がドキドキする病気は、もちろんWPW症候群だけではないので、気になる方は、まず、かかりつけの医師にご相談ください。

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