医療トピックス
区民の皆様にその時期にマッチした情報をお知らせします。
人工膝関節あれこれ
2015年8月
膝の痛みを訴えている人が周囲にいませんか?もともと膝には負担がかかりやすく、平地を歩くときでも膝には体重の2~3倍の力がかかっています。
変形性膝関節症は、軟骨や半月板、筋肉などのクッションの機能が低下し、痛み、腫れ、運動障害を起こす慢性疾患です。エックス線で軟骨や骨がすり減ったり、骨の棘(骨棘)ができたりします。
軟骨がすり減って膝に痛みが起こってもすぐに人工膝関節の手術が行われることはありません。薬・装具・運動などの保存療法が行われます。
- 薬―痛みや炎症を抑えるのみ薬や外用薬が用いられます。関節を保護し潤滑作用をもつヒアルロン酸を関節注射することもあります。
- 装具―膝を保護する装具(サポーター)や足底の角度を変える足底版という装具が用いられます。
- 運動―膝の周囲の筋肉を強化したり、ストレッチを行って膝の曲げ伸ばしができる範囲を広げたりします。
以上のような保存療法を組み合わせることで多くの場合、症状が改善します。まずはこのような治療を数か月から半年くらい行います。
痛みが治まらなければ手術を検討します。人工関節の手術が適しているのは、エックス線検査で軟骨の摩耗が顕著であり、なおかつ保存療法があまり効かずに強い痛みが現れている場合です。
人工関節の耐用年数は、一般的に約20年程です。生涯にわたって使うことを考えれば、手術を受けるのは60~65歳以上が適しています。実際に手術を受ける人が最も多いのは70歳代です。あまり高齢になってしまうと手術が難しくなる場合があります。
また合併症のあるなしで手術可能かどうか決まる場合があります。主治医とよく相談することが大切です。
人工関節を入れる治療はひどい痛みを取るのに効果的です。特に改善効果が優れているのは、歩くときの痛みです。
手術後の注意点としては、適正な体重の維持、いすやベッドを使う洋式の生活などが大切です。筋肉のストレッチと筋力の強化で膝の負担を減らすことも重要です。特に強化すべき筋肉は、太ももの前側にある大腿四頭筋です。
手術後は通常3ケ月くらい痛みが残ります。この痛みは薬や運動療法で改善するので心配ありません。
膝の痛みにお困りの方はお近くの整形外科にご相談ください。