医療トピックス

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酸素は医師が処方できます

2014年12月

 空気のような存在という言葉があるように、あって当たり前の空気や酸素について普段考えることはあまりないかもしれません。しかし、酸素がないと生きていくことができません。どうして酸素がないと生きていかれないのでしょうか。息苦しくなってしまうから、という訳ではありません。
 実は、生きていくためのエネルギーは食事などから摂った栄養素と酸素によって作られているからです。酸素と栄養素をとりいれた結果、体はエネルギーと二酸化炭素を作ります。酸素は息を吸うときに体の中に取り込まれ、一方、二酸化炭素は息を吐く時に体の外に排出されます。つまり、酸素が足りなくなると、全身のエネルギー不足が起きます。その結果息苦しいだけでなく、疲れやすい、注意力や記憶力の低下、頭痛、不眠、血が濃くなる(多血症)などの様々な症状と内臓への負担が出現します。
 特に大事なのは心臓への影響です。酸素不足から心臓に負担がかかると、さらに全身への影響が大きくなり、外出はおろか食事や着替えですら苦しくてできないという状態にもなってしまいます。一時的な酸素不足ではなく、病気などにより慢性的に酸素不足になることを慢性呼吸不全と呼びます。慢性呼吸不全となる病気にはタバコなどが原因のCOPD(シーオーピーディー)や肺結核の後遺症、肺がんなどの肺の病気が多いですが、心不全なども原因となります。
 一昔前、酸素は病院でしか使えなかったので、慢性呼吸不全になると何ヶ月、何年も入院生活を余儀なくされていました。しかし1985年から自宅での酸素療法が始まり、現在15万人を超える人が自宅で酸素を使用しています。
 酸素を使用することになると、自宅で安静にしなくてはいけなくなるのでは?酸素が癖になってしまうのでは?などの心配の声をきくことがありますが、そのようなことはありません。酸素を使用することで、苦しくてできなかった外出や旅行も可能になります。また、酸素を使用しながら運動をすることで健康を増進している方もたくさんいます。
 つまり、慢性呼吸不全になってしまっても、酸素を日常的に使用することで息切れが軽くなるだけでなく、心不全予防、運動能力のアップ、生活の質の改善、入院の回避などが可能で生存期間の延長にもつながります。ここで、注意点です。一時的に酸素をスプレー缶で吸入したり、酸素バーで吸入したりしても上記のような効果を得られることはできません。
 酸素は基準を満たすと、健康保険を使用して医師が処方することができます。酸素を吸うための機械も医療機関からレンタルで用意されます。健康保険で処方された酸素は流量や使用時間も医師が処方内容として決定します。それが、その方に一番適切な酸素量ですから、勝手に変更しては効果が不十分となりますのでやめてください。息苦しから、とすべてをあきらめる必要はありません。ぜひ、担当の医師と相談してみてください。

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