医療トピックス

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過活動膀胱には我慢が大切

2014年6月

 急に強くなり、我慢することが困難なほどの強い尿意を「尿意切迫感」と言います。その後に尿が出てしまう事を切迫性尿失禁と言います。
 そして、この尿意切迫感を主とし、頻尿を伴うことが多いという症候群が、もう大分ポピュラーになってきた「過活動膀胱(OAB)」です。以前にもこの欄で取り上げていますので(2010年11月)、今回は治療、特に行動療法について書いてみたいと思います。

 さてOABの定義は「尿意切迫感を必須とした症状症候群であり、通常は頻尿を伴うものである」とされています。その病因として脳血管障害やパーキンソン病、脊髄の疾患などの神経因性のもの、前立腺肥大症などの下部尿路閉塞や加齢などの非神経因性のものがあります。従って、OABの治療にはまずこのような背景因子に対処する必要があります。その上で薬物療法や行動療法を行う必要があります。
 そこで行動療法ですが、まず意識を変えてもらいます。OABによく見られる症状に、外出中あまり尿意を感じていなかったのに、家に近づくと尿意が出てきて、特に玄関の戸に手を掛けた途端にとても我慢が出来なくなってしまう。また、トイレに着くまではなんとか我慢出来た尿意が、トイレに着いた途端に我慢が効かなくなってしまう、といった事があります。このような事からこの状態を指して、ドアノブ症候群と言ったりします。
 そこで患者さんにお話しするのは、例えばこの時に家が、トイレがあと100m先であれば、そこまでは皆さん我慢が効くのではないかという事です。そしてこれは、自分では意識しないでトイレの直前で頭の中では排尿する指令を出してしまっているのではないかと考えられます。という事は、この時に、トイレはまだ先だ、自分には我慢が出来る筈だ、まだ排尿しないぞ、と強く思う事で切迫感は先延ばしできる筈ではないかと言う事です。
 これをふまえて、尿意を感じたら我慢の訓練をします。まず尿意を感じたら、何か他の事を考えて尿意をやり過ごすように努めます。深呼吸する事も良いでしょう。尿道に尿が少し漏れ出ても強い尿意に変わりますから、肛門を締めるようにして骨盤底筋群に力を入れる事も有効です。もちろん骨盤底筋体操も役に立ちます。そしてまず5分、出来たら10分というように少しずつ時間を延ばすようにします。それからトイレに行く時も慌てて行かないようにし、わざとゆっくりと行くようにすると良いと思います。
 このような行動療法だけでOABが改善する人も居ますし、さらに薬を併用する事でOABは相当にコントロール可能になってきています。お悩みの方はぜひ行動療法を試してみて下さい。

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